初心者のための茶道教養講座「茶道の初釜と正午の茶事の流れ」
ご訪問ありがとうございます。
お抹茶Happylifeの大澤美智子です。
茶道初心者のために、わかりやすく要点だけを絞って解説する茶道教養講座。
今回は「茶道の初釜と正午の茶事の流れ」についてお届けします。
(1)初釜(はつがま)とは
新年を迎えて初めて釜をかけることから、初釜と呼ばれ、年が明けて最初に行われる茶会のことです。
新年最初のお稽古はじめの日でもあります。
「お初釜」と言ったりもします。
茶道をお稽古している方にとっては、一年に一度の初釜を、楽しみにしていらっしゃる方も多いでしょう。
時期は、1月の中旬ぐらいまでに行われるところが多いですが、遅くても1月末までには行われます。
初釜では、未婚女性は振袖、既婚女性は紋付の色無地や小紋、付け下げ、訪問着で、新春のお祝いの席にふさわしい、上品でありながら、いつもより華やかな装い(吉祥文様が入っている着物や帯、金や銀の入った色使いなど)の方が多いようです。
洋装の場合も、シンプルエレガントなワンピースやスーツなど、上品で清楚な雰囲気を心がけるといいですね。
新年ということで、気持ち新たになる上に、いつもよりドレスアップすることで、より一層身や心が引きしまる、特別な行事となります。
では具体的にどのような流れで行われるのでしょうか?
(2)正午の茶事の流れ
初釜をどのような流れで行うのかは、主催者によって様々ですが、多くの場合「正午の茶事」で行われます。
茶事とは、お茶とお菓子だけでなく、お食事やお酒も振る舞われる、正式なティーパーティ(茶会)。
ちょうどお昼時から始まり、お食事が昼食となるため、「正午の」茶事となります。
お客様目線で正午の茶事の流れを解説しますね。
(前半)
・まずお茶席に入って新年のご挨拶。
・炭手前を拝見(釜の湯を沸かすための炭をセットする一連の作業も、美しい所作と決められた手順で進みます→炭手前)
・お炭のそばにお香が入れられ、炭の火で温められてお香の香りが立ちはじめます。
(ちなみに私はこの頃、炭がパチパチと爆ぜる音や、白檀などお香の香りに五感が刺激され、眠っていた日本人のDNAが呼び起こされるような感じがして、あ〜いいなぁとうっとりしています。)
・炭が入って釜のお湯を沸かしている間に、懐石料理やお酒をいただきます。
・お食事が終わってお膳が下げられた後、お菓子(主菓子)をいただきます。
・前半(初座:しょざ といいます)はここまで。この後お部屋を出て小休止(中立:なかだち といいます)。
(後半)
・後半(後座:ござ といいます)はいよいよ茶事のメインディッシュとも言える、濃茶をいただきます。
お食事中の明るく和やかなシーンとは対照的に、厳かな雰囲気の中、執り行われます。
(ちなみに、おいしいお食事にお酒も入ってホワホワとした気分の後に、スッと背筋を伸ばしていただく濃厚な濃茶のおいしいこと!お食事とお菓子の後の濃茶は本当においしいんです。)
・そして最後に、デザート感覚で、お菓子(干菓子)と薄茶を軽やかにいただいて、茶事が終わります。
(3)おわりに
いかがでしたでしょうか。
年初めに、茶道好きなお仲間がドレスアップして集まって、お食事をして、お酒もいただいてほろ酔いになって、甘いお菓子と濃厚な濃茶、縁起のよい干菓子と薄茶をいただく、フルコースのおもてなしを堪能できるお茶会が初釜だ、ということがわかっていただけたでしょうか。
もちろん、初釜を本当に楽しめる域に達するには、日々のお稽古の積み重ねがあってこそ。
おもてなしする側もされる側も、両面から学びを続けることで、毎年新しい発見や喜びに出会え、自分の成長を実感でき、その年の課題も見つけられたりするものです。
ただ、茶道の茶事を本格的に学ぶことも、一般家庭で再現することも、誰にでもできることではなく、多くのハードルがあります。
お抹茶Happylifeでは「茶道の茶事の学び」を通して、現代生活にどう活かすか、というところを学んでいただけます。
2022年1月は、「オンライン初釜レッスン」と題し、少人数グループで座学と茶の湯ティータイムを楽しみました。