お抹茶Happylife

海外の学生向け茶道体験プログラムを成功へ導くための、大切な3つのポイント

2023.08.06

〜外国人留学生や修学旅行生向けの体験プログラムの企画を担当なさっている方へ〜

海外からの留学生や修学旅行生の体験プログラムとして、新しい経験を通じて成長できるような、感動と学びのある出張茶道体験のご用命が大変増えています。

ここでは、私(大澤美智子)が、中国からの学生団体様向けの出張茶道をご提供した時の事例(2023年7月)を通して、その価値や魅力、参加者様やイベントご担当者様からのリアルなお声、そして成功に導くための大切な3つのポイントなどをまとめました。
海外学生向けの茶道体験プログラムをご検討の際に、ぜひお役立てくださいませ。

海外の学生向けの日本文化体験プログラムの魅力や気をつけることはこちらでご紹介しています。

事前のお打ち合わせ

今回の企画に際して、ご担当者様からお問い合わせ後、Zoomでお打ち合わせさせていただきました。
事前のお打ち合わせでは、お時間や現場条件はもちろんですが、学生さんの年齢や企画の主旨、目的をお伺いいたします。
ご担当者様自身が茶道の経験がないことがほとんどですので、一連の流れをご説明して、参加者の年齢、条件やご予算に合うように企画のご提案をさせていただきます。
過去の事例などもご案内して、これまでの学生さんの反応やお声などもお伝えいたしました。

企画担当者様が大澤にご相談くださる前は、条件に合うような大人数向け出張茶道をされている茶道家をなかなか見つけられず、お困りだったそうです。
お打ち合わせの中で、予算と時間の制約がある中で、少しでも学生さんに喜んでいただけるような茶道体験にしたいというご意向や熱意を伺い、私から色々なご提案をさせていただきながら、最善のプログラムをご一緒に作っていきました。

そして今回は、小学生〜高校生のお子様と保護者様、総勢133名が2グループにわかれ、浴衣着付け体験と茶道体験を交代で行う日本文化体験が、10日間の滞在で初日のプログラムに選ばれました。その中で、茶道体験は、45分講座を下記の内容で2回連続で行うことになりました。

今回の茶道アクティビティの主な内容(事例紹介)

私は、まず最初に学生さんの母国語を使用した自己紹介をするように心掛けているのですが、今回も私の覚えたての中国語の自己紹介を笑って受け入れてくれて、終始楽しそうに参加してくれていたのがとても印象的でした。学生さんたちの素直な反応や笑顔を引き出せた時は、本当に講師冥利に尽きる嬉しい瞬間です。

①茶道文化の紹介

今回、初めて訪日する小学生のお子様が大半だったため、まず最初に抹茶や茶道の歴史や文化、茶道や点前の精神性について、わかりやすい解説付きでご紹介しました。茶道の文化的な背景や、作法が生まれた背景を事前に理解することで、体験をより深く楽しむことができます。そうすることで、単なる観光的なアクティビティではなく、本来の文化理解や体験価値を高めることができます。
今回は通訳のかたがいらっしゃったので、事前に原稿をご提出し、日本語と中国語でスムーズに解説をすることができました。通訳の方は時々、学生さんたちの理解が深まるように、また中国との比較やクイズも取り入れながら、補足説明もされていらっしゃいました。

②茶道パフォーマンスの披露

今回は、会場にある金屏風とテーブルと椅子をお借りし、立礼式(りゅうれいしき)というテーブルでできる茶道の点前(てまえ)を披露をしました。茶道の点前というのは、お茶を点てるための一連の行為全てをさし、繊細で無駄のない所作の連続を、正確な手順や作法に基づいて行います。道具を清めながら、自分自身の心も茶室も、そしてその場にいるゲストの心も清め、落ち着かせていく効果があります。

私の点前をご覧になった方からは、「いつの間にかぐっと引き込まれていく。」とよく言われますが、今回も学生さんや保護者の皆様が、食い入るように点前を見つめ感銘を受けられているご様子だったそうです。皆様がこころ静かに、凛とした静寂の空間をご一緒に作ってくださったこと、大変嬉しく思いました。

点前披露のあとは、私の茶道教室の生徒さん方が、お客様役とお茶をお運びする役をし、茶席全体の流れや雰囲気をご覧いただきました。
普段は実際にお客様に茶席に入って体験していただくこともありますが、時間の関係で私共で流れをご披露いたしました。
その際、私の事前原稿を元に、所作の意味や見どころについての解説も、中国語で加えていただいたことで、参加者の皆様のご理解が高まり、大変好評でした。

私の点前はこちらで動画でご確認いただけます。

③和菓子と抹茶の提供

今回は、日本の夏の情景を表現した和菓子と共に、抹茶をご提供しました。

テーブルにはあらかじめ、和紙でできた懐紙と和菓子を全員に一つずつ置いておき、和菓子を食べながら、解説を聞いていただいている間に、順番にお抹茶を出していく方法となりました。

本来であれば、抹茶茶碗でお楽しみいただきたいところでしたが、人数やお時間などの関係で、茶碗を洗いながら使用することができない条件でした。しかし、時間内に、全員にお抹茶を飲む体験をさせてあげたいというご要望があり、全員一緒に抹茶を味わうことに焦点を当てることになり、今回は試飲の位置付けで和柄の紙コップでのご提供となりました。
(実際の抹茶のいただき方の作法は、事前に解説つきでご披露しました。)

また、巷では抹茶を全て飲み干せない体験者も多いと聞きますし、「抹茶が苦くて残す子が多かったらすみません…」とイベント担当者に心配されておりましたが、残しても全く問題ないこと、本場日本の抹茶をみんなで飲むだけでも体験価値が高いことをお伝えしておりました。
しかし大変嬉しいことに、今回飲み残された方はほとんどいなかったようでした。むしろ「美味しいのでおかわりはできませんか?」というご要望もあったほどです。

私共がご用意するのは、当方のオリジナルブレンドの『夢銘』(むめい)で、苦味もマイルドでお茶の甘みがしっかり感じられる大変飲みやすい抹茶です。お子様からは「最初少し苦味を感じたけれど、あとは爽やかでおいしかった。」というお声が多く聞かれました。

④その他のアクティビティ

飲食が終わったあとは、参加者のご様子やご要望をお伺いしながら、質疑応答タイムを設けたり、茶道のテーブルに座って茶筅を振る体験をしていただいたりしました。(希望者のみ) 

今回小学生が多かったため、「茶道具を傷つけたり、割れて怪我をしたら…」といったご心配もされていましたが、実際にお茶碗を触ったお子様でも落ち着いてできるように、私がそばでフォローしましたので、安心して体験していただくことができました。

足を閉じて座り、姿勢をただし、左手で茶碗を支えて、右手で茶筅を振る・・・それだけでも、とても嬉しそうに体験され、写真もたくさん撮られていました。 

 

また着物でアシスタントをしてくれた私の茶道教室の生徒さんと私は、記念の写真撮影のご要望もたくさん頂戴しました。特に女性(同行のお母様や女子高校生)からのお声がけが多く、その場でお友達になったように盛り上がり、私共にとってもいい思い出になりました。

 

また出口でのお見送りでは、「バイバイ」「ありがとう」「謝謝」と笑顔で言ってくれるお子様も多く、また私共からの声かけを受けて恥ずかしそうにそっと手を振ってくれるお子様(特に男の子)もいて、みなさま本当に素直で可愛らしく、名残惜しく感じました。

 

イベントご担当者様のご感想

「本日は生徒たちへの講座とパフォーマンスのために、暑さの中で遥々お越しいただきまして、誠にありがとうございました。

先生とアシスタントの方々のおかげで、初めて主催した大人数向けの茶道体験が無事に終わることができました。生徒たちと引率の教員からも「楽しかった」、「美味しかった」、「良い体験だった」と色々と良いフィードバックをもらったそうです。

いただいたお茶は、本日現場に来れなかったオフィスの同僚たちと一緒に楽しませていただきます。ありがとうございました。」​​

今回ご依頼いただいたご担当者様には、企画段階から細かいやりとりをし、当日も中国語の通訳をしてくださったり、お抹茶をお盆で運んでくださったり、大変お世話になりました。このような嬉しいお言葉を頂戴し、大変嬉しく思うと同時に、今後諸外国の子供たちに、感動や学びのある異文化体験を、出張茶道を通して提供していきたいと改めて感じております。この度は本当にありがとうございました。

 

海外の学生向け茶道体験プログラムを成功へ導くための、大切な3つのポイント

1、参加者への分かりやすい説明と指導

海外の学生にとって、茶道は初めての体験である場合が多いため、体験時間や参加する人数、年齢、ニーズやバックグラウンドに合わせて、プログラムを彼らに合わせてカスタマイズすることが重要です。

専門用語や作法を理解しやすいように、わかりやすい言葉を選んで​​文化的背景や意義を説明したり、実践的なデモンストレーションを行うことで、体験をより楽しんで理解できるようになるでしょう。

2、アクティブな参加体験の提供

単に説明を聞くだけ見るだけでなく、実際に参加者自身が体験を行うことで、より深い理解や感動を得ることができます。茶道体験では、抹茶を点てる体験や、抹茶と和菓子を楽しむ体験が有名ですが、それ以外にも、和紙でできた懐紙を折って自分用の菓子皿を作る体験や、丁寧な所作で交代でお茶を運ぶ体験など、実際に手や体を動かすことができる体験を組み込むなど、さまざまな工夫が可能です。最後まで飽きずに楽しむことができ、より日本文化の理解が深まるでしょう。茶道には日本文化の多くの要素が詰まっているからこそ、工夫次第でオリジナルのプログラムの提供が可能となります。

3、専門家や通訳との連携

1と2を実現するために、柔軟に対応できる茶道の専門家や通訳との連携が重要です。
専門用語を多用しない、初心者向けのわかりやすい解説や、学生たちを飽きさせないような相互コミュニケーションやアクティブな体験もあると、より効果的なプログラムになるでしょう。また通訳にあらかじめ原稿を渡しておけると、事前準備がスムーズにできるでしょう。また学生さんたちの理解を助ける資料もあると、更に満足度が高まるでしょう。

海外の学生向けの日本文化体験プログラムの魅力や気をつけることはこちらでご紹介しています。

 

いかがでしたか? 今回は事例を元に、海外の学生様向けの出張茶道の概要をお伝えいたしました。
なんとなくでもご担当者様の体験プログラムのシミュレーションができましたら幸いです。
大抵の日本人にとっても「茶道」は馴染みがなく、ご担当者様にとっても何から考えたら・・・とご心配をお抱えのことと思います。
体験の時間枠や参加人数に応じて、実施可能な範囲でプログラムをご提案いたします。
どんな小さなことでもどうぞ私共にご相談くださいませ。
下記のメールフォームをお気軽にご利用ください。

私も同じ子供を持つ親として、そして日本文化継承者の一人として、お役に立てられたら大変嬉しく存じます。